東京大学野球部【島田叡氏の足跡を辿る】
- 青島秀多選手
- 杉浦海大選手
- 平和学習
- 島田叡氏
東大野球部は、沖縄バッテリー合宿を2015年から行っており、合宿の支援者の方の繋がりで、最初の合宿時から、東京大学に在学中、野球部に所属していた島田叡氏関連の学習を、年に一回行っているそうです。
今回は、東大野球部の青島秀多選手と杉浦海大選手に、学生時代にどういった平和学習を学んだか、島田叡氏の足跡を学ばれた感想 ・大学野球部での目標、卒業後のキャリアのイメージなどをインタビューしました。
青島秀多選手(投手/3年/学芸大附)
■中学校、高校時代の修学旅行の思い出
高校ではタイに行きました。あまり海外経験がなかった自分にとって、タイでの経験は衝撃的でした。定刻通りに来ない電車、飲むとお腹を壊すと言われた水道水など、日本での常識が通じない場面がたくさんありました。外から日本を見るいい経験になりました。
■中学校、高校時代にどういった平和学習をされましたか
中学2年生の時に広島に行きました。平和記念公園や原爆ドームなどに行き、当時の悲惨な状況が容易に想像できました。その時まで歴史の授業でしか戦争について触れたことがありませんでした。その悲惨な過去を、被害を受けた現場で知ることで、日本人としてその歴史を風化させることなく、今後自分たち戦争を知らない世代が背負っていかなければいけないと使命感を覚えました。
■東京大学野球部員として島田叡氏の足跡を学ばれた感想
沖縄戦についてあまり知識がなかったので、どれほど大変な状況だったかそこで初めて知りました。自分たちと同じように東大野球部で勉強と野球に励む生活を島田さんもしていたと思いますが、その後このような人生を歩まれる形になり、島田さんのような使命感に溢れ、自分の命の危機を感じながら県民の安全を思う人に、自分は到底なれないと思いました。
■大学野球部での目標、卒業後のキャリアのイメージなどあれば教えてください
大学野球部では応援されるチーム作りに励みたいと思っております。選手として、チーム全体として、いろんな方から支えられて今活動できています。その方々に恩返しができるように、また応援したいなと思われるように頑張りたいと思います。卒業後は国家公務員、または国際機関で働きたいと思っております。自分は工学部社会基盤学科に所属しており、世界で起きている災害について触れる機会が多々あります。特に発展途上国ではその被害は大きく、復旧に多くの時間がかかっています。そういった世界的に見たら災害に弱い立場の方々をなんとか救いたいと思っております。
■今回、沖縄で学ばれたことを今後の野球人生、キャリアでどう活かしていきたいですか
轟豪に訪れ、当時の人々の置かれた劣悪な環境を見て、自分たちがいかに幸せで贅沢な環境で生きているか身に染みました。日頃このような環境を整備してくださっている方々への感謝を忘れず、またそれを維持していく義務を今後自分たちが背負っていかなければならないのだと自覚し、社会のために行動できるようになりたいです。
■今後、沖縄への修学旅行で平和学習を行う、中学生、高校生に向けてお伝えしたいこと、メッセージなどお願いします
文献や写真ではわからない、被害の現場の空気感、規模感をぜひ感じ取ってもらいたいです。そこにいるだけで戦争の被害がどれほどか、きっとひしひしと伝わってくるはずです。
杉浦海大選手(捕手/2年/湘南)
■中学校、高校時代の修学旅行の思い出
中学はカナダに修学旅行に行き、ホームステイなどを通じて外国の方とコミュニケーションを取ることができて、今まで味わったことのないような新鮮な嬉しさを感じたのを覚えています。もっと英語の勉強をして、外国の方と流暢に会話できるようになりたいとも感じました。高校ではコロナの影響で台湾への修学旅行がなくなってしまい、残念でした。
■中学校、高校時代にどういった平和学習をされましたか
修学旅行を通しての平和学習などはなかったので、道徳や社会などの座学の授業で平和学習をしたに留まります。他にも現代文の授業や試験で戦時中の文章を読まされることなども多く、平和についてある程度は認識できていると自分では思っていました。
■東京大学野球部員として島田叡氏の足跡を学ばれた感想
島田さんが訪れた轟壕に入るなど、実際に戦争の場所や現物に触れる中で、戦争の惨さの一端をまざまざと感じることができ、貴重な経験ができたと思います。前述のような、今まで自分が座学で学んできたことは浅はかな知識であったのだと思い知らされ、自らの無知を恥ずかしく思いました。そのようなことを気づかせてくれた島田さんの部活の後輩であるという縁に感謝しています。
■大学野球部での目標、卒業後のキャリアのイメージなどあれば教えてください
大学野球では、練習に真摯に取り組んで勝ちをなんとかもぎ取り、後悔のないようにすることが目標です。その結果、神宮で勝ち点を取れれば最高だなと思います。卒業後は弁護士になれればと思っています。
■今回、沖縄で学ばれたことを今後の野球人生、キャリアでどう活かしていきたいですか
沖縄では普段なかなか意識できない「平和」の重要性に気づくことができました。僕が普段勉強している法学、特に憲法においても「平和」というのはよく挙げられるテーマです。将来、自分は弁護士として法学的な観点から「平和」に貢献できればなとも思いました。また、普段野球が当たり前に出来るような現在の平和な身の回りの環境にも感謝しながら、プレーしないといけないとも感じました。
■今後、沖縄への修学旅行で平和学習を行う、中学生、高校生に向けてお伝えしたいこと、メッセージなどお願いします
平和学習を修学旅行で行い、平和の重要性に気づくことは貴重で重要な経験です。しかしながら、そこで止まってしまう人が大半であると思います。そうではなく、そこで平和の重要性を認識できたなら、その実現には何を自分ができるのかまで考えてほしいと思います。そこまで考えて初めてその学習は意味をなすと僕は思います。